〇 第1回からの追悼式
戦没船員の碑が完成したことにより、第1回の追悼式が昭和46年5月6日開催されました。
この式典は、各県遺族代表、関係船員、海事関係企業・団体代表者の参列する中、皇太子同妃両殿下(現上皇上皇后両陛下)のご台臨を賜り、橋本運輸大臣、津田神奈川県知事、長野横須賀市長、内田海上幕僚長なども参列し開催されました。
以後、毎年5月15日(曜日によって多少変更)に追悼式が執り行われ、令和元年5月15日の式典が第49回となりました。
〇 参列者
追悼式には、全国からご遺族をはじめ、戦没船員と生死をともにされた船員や海運・水産関係者など約650名近い方々が参列しておられます。しかし最近では、ご遺族などの高齢化により次第に世代が代わり、子供さんやお孫さんなどが目立つようになりました。
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追悼式のご案内は、ご遺族や関係船員等については、当会が知り得た範囲で「遺族名簿」「関係船員名簿」等を作成しており、案内を希望された方全員に出欠をご連絡していただくハガキを同封してご案内しております。
また、関係官庁や団体、海運会社等にもご案内しております。ご案内を差し上げない一般の方々も自由にご参列できます。
なお、記念式典のみ参列者を限らせていただく場合がございます。 |
〇 能楽「海霊」の奉納
毎年の追悼式には、欠かさず能楽「海霊」が奉納されております。
この能楽は、戦没船員と生死をともにされた大連汽船船長宮越賢治氏が、御霊の鎮魂とその功績をいつの世までも伝えるために作詞され、25世観世左近元正師が作曲したものです。
宮越氏生存中は、自らシテを演じて奉納されておりましたが、他界された後は観世一門の皆さんによって奉納されております。
また同氏は、私財2千万円を当会に寄付されました。
〇 皇族のご臨席
節目の追悼式や折にふれ、次の通り皇族方も戦没船員の碑におはこびになられました。
昭和46年5月 6日 |
第1回戦没船員追悼式 皇太子同妃両殿下(現上皇上皇后両陛下)ご臨席賜る |
昭和53年5月 4日 |
高松宮同妃両殿下ご供花賜る |
昭和55年5月15日 |
第10回戦没船員追悼式 高松宮殿下ご臨席賜る |
昭和57年5月 7日 |
昭和天皇皇后両陛下 行幸啓ご供花賜る |
平成 2年5月15日 |
第20回戦没殉職船員追悼式 皇太子(現天皇陛下)殿下ご臨席賜る |
平成 3年5月15日 |
第21回戦没殉職船員追悼式 皇太子(現天皇陛下)殿下ご臨席賜る
皇后陛下(現上皇后陛下)御歌碑除幕式を行う |
平成 4年1月20日 |
天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)行幸啓 ご供花賜る |
平成 6年5月13日 |
第24回戦没殉職船員追悼式 皇太子同妃両殿下(現天皇皇后両陛下)ご臨席賜る
天皇陛下(現上皇陛下)御製碑除幕式を行う |
平成 7年9月14日 |
天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)行幸啓 清子内親王殿下(現黒田清子様)を伴われご供花賜る |
平成12年5月15日 |
第30回戦没殉職船員追悼式 天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)ご臨席賜る |
平成17年10月11日 |
天皇皇后両陛下行幸啓 清子内親王殿下(現黒田清子様)を伴われご供花賜る |
平成22年6月4日 |
第40回戦没殉職船員追悼式 天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)御臨席賜る |
平成27年6月10日 |
第45回戦没・殉職船員追悼式 天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)ご臨席賜る |
第30回の追悼式には、はじめて天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)のご臨席とおことばを賜りました。
天皇陛下(現上皇陛下)のおことば
本日第30回戦没殉職船員追悼式に臨み、さきの戦争の戦没船員を始め、船員としての職務に殉じた人々の上を思い、深い感慨を覚えます。
昭和12年から8年間にわたった戦争の間に、祖国のために海上輸送などの業務に従事しながら、戦火により尊い命を失った我が国船員は、6万人余に上ります。これらの人々の御霊を慰めるために、関係者の努力によってこの戦没船員の碑が建てられ、今日では、戦後、海上で職務の遂行中殉職した1700人を超える船員の御霊も併せ祀られています。
第1回戦没船員追悼式が行われたのは昭和46年、降りしきる雨の中でした。その後私どもは二度ここを訪れていますが、ここに祀られた船員が、碑の前に広がる果てしない海に抱いたであろうあこがれと、その海が不幸にもその人々が痛ましい最後を遂げた場所となったことを思う時、かけがえのない肉親を失った遺族や亡くなった船員と共に航海をした同僚の人々が抱き続けてきた深い悲しみが察せられます。
戦後50年余を経て、当時の戦争のことが人々の心から次第に遠いものとなっていく今日、私どもは我が国の人々が戦後に築き上げた平和と繁栄が戦没船員を始めとする数しれない人々の尊い犠牲の上に達成されたものであることを決して忘れてはならないと思います。
第二次世界大戦後、局地的戦争はありましたが、多くの海域に平和が戻り、戦後の我が国が発展する上で海運や水産に携わる船員の果たした役割は誠に大きなものがありました。これからもこの海の平和を守るために皆で努めていくことが大切であり、それが亡くなられた人々に報い、遺族の意にそう道でもあると思います。ここに御霊の安らかならんことを祈り、併せて遺族の幸せを願って追悼式に寄せる言葉といたします。 |
〇 海上自衛隊の協力
追悼式開催にあたっては、第1回より地元海上自衛隊横須賀地方隊のご協力によって、救護車の配置、音楽隊の派遣などのご支援をいただいております。
〇 運営
式典の運営にあたっては、神奈川県横須賀土木事務所のご協力と、海上自衛隊横須賀地方隊のご支援を受けて、横須賀海洋少年団、関係団体役職員の協力によって実施されています。
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